なかの皮フ科

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「たかの橋駅」徒歩1分、広島市中区にある女医のいる皮フ科

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肌のバリア機能に関する
乳児の食物アレルギーについて

【乳児の肌の特徴】
乳児の肌は見た目ではなめらかでふっくらしているように見えるのですが、実際の皮膚の厚さは大人の2分の1しかありません。また母親のホルモンの影響で皮脂が多い時期は生後4カ月までで、それ以降の皮脂量は大人の3分の1になります。皮脂がないと皮膚が乾燥しやすくなるため肌のバリア機能は低下し、外部からの刺激を非常に受けやすくなっています。

【食物アレルギーとの関係】
乳児期は食物アレルギーを起こしやすい時期と言われています。その理由は食物アレルギーを起こす食物抗体が作られやすいにもかかわらず、食物アレルギーに対しての抵抗力を持つ消化管粘膜や消化酵素などの機能が弱いからです。
食物アレルギーを引き起こすきっかけは、原因となる小麦や卵などの食べ物を食べた時に起こるという考え方が一般的でしたが、近年では皮膚から侵入した食物抗体がアレルギーを引き起こすことがわかっています。

【乳児性湿疹と食物アレルギーの関係】
乳児は汗の量が大人の2~3倍になっているため汚れが溜まりやすく皮膚のトラブルが多い傾向にあります。生後2週間頃から1歳にかけて発症することの多い乳児性湿疹の主な症状は、汗腺のつまりによるあせもや、母親から胎盤を通して受け継いだ女性ホルモンの影響により、小さい毛穴に皮脂がつまることなどによって発症する乳児脂漏性湿疹などが挙げられます。
その中で、生後1∼3か月頃から顔にできていた湿疹が身体にも広がってきて、なかなか治らず痒そうにしているという症状がある場合にはアトピー性皮膚炎の可能性があります。またアトピー性皮膚炎の症状が見られる乳児は、食物アレルギーを合併している場合が多いとされています。このような結果から、昔は食物アレルギーを持っているからアトピー性皮膚炎などの症状を発症していたとされていましたが、近年ではアトピー性皮膚炎 や湿疹などで肌のバリア機能が低下することによって、食物アレルギーを引き起こすということが研究によってわかりました。

【食物アレルギーの予防】
近年では、食物アレルギーの予防にはスキンケアなどの肌の予防を行うことが効果的であると分かっています。乳児は肌のバリア機能が弱いため少しの刺激にも敏感に反応します。また、皮脂の量は顔の部位でも違いがあり、特に皮脂の量が少ないのは頬や口周りの顎の部分とされており、よだれや食べこぼしが多く汚れやすい口周りにも関わらず非常に乾燥しています。そういった部分を拭き取る際の刺激でも肌は傷付くため、口周りの湿疹が多いとされています。このような肌トラブルを避けるためにも乳児期における日常のスキンケアは大切です。

【日常で行えるスキンケア予防】
乳児のスキンケアで注意するポイントは「肌を清潔」にすることと「肌の保湿」です。
・乳児の肌を清潔に保つためには、汗のかきやすい場所のしわを伸ばしながら、撫でるように手を使って丁寧に洗い、すすぐようにしましょう。この際、低刺激で泡立ちやすい洗浄料を選ぶこと、洗いすぎないことや刺激が強いタオルを使わないことが大切です。
・十分な保湿をするために、ワセリンやベビーローションを身体全体に優しく塗るようにしましょう。お風呂上がりのタイミングや着替えの時間など1日に2回は塗ることをおすすめします。
また、口のまわりには食事の前と後に、口や粘膜でも大丈夫な精製ワセリンを塗ることをおすすめしております。食後は口のまわりに付着した食物やミルクをやさしく拭き取り、再びワセリンを塗りましょう。ワセリンを重ね塗りする際は1日1回口のまわりを石鹸で洗いましょう。
当院では、スキンケア指導も行っていますので、少しでも乳児の肌トラブルなど気になることがある場合はお気軽にご相談ください。